レポート『元気!になる地域とデザインのあり方をさぐるシンポジウム』


10月9日(火)、福岡アジア美術館あじびホールにて開催された
[地域のデザイン産業活性化プロジェクト]
『元気!になる地域とデザインのあり方をさぐるシンポジウム』
に参加しました。

興味深い内容だったので
レポート代わりにメモを残しました。

地域における「安心」の設計

原田 昭 氏

札幌市立大学をつくる時に始めたことは
札幌の地域を知ることから。

◎分析
産業構成比の分析。
各主要都市との比較で、札幌が高評価を受けている項目の分析。
都市と都市品質のポジショニング分析

◎異なる学部との連携教育
「デザイン学部」と「看護学部」
それぞれ異なる視点から相手の学部を見ることで
新価値が生まれる。それを地域活性にも活かす。

◎デザインの役割
何が人々にとって大事なのかを見つけ出し
解決することが求められている。

悩みや不安を感じている人が70%もいる。
人々は物ではなく心の豊かさを求めている。
しかし、それを与えられている地域はあるのだろうか?
デザインで解決できることはないのだろうか?

◎学生主体
毎年10コのプロジェクトが、学生主体で進められている。
地元企業、団体を巻き込むのも彼ら自身。

メビック扇町が取り組んでいるクリエイティブクラスター活動

堂野 智史(メビック扇町 所長・チーフコーディネーター)

メビック扇町
(クリエイティブ産業振興のために、
2003年に大阪市経済局が設置した創業支援施設)

◎クリエイティブビジネスを取り巻く課題
大阪ならではの課題として以下が挙げられた。

・大阪には仕事が無い、というイメージ
・デジタル化によりクリエイターの引きこもり促進
 →実際に会うことで可能になる良質なコミュニケーションの欠如

◎めざすところ
クリエーター同士・クリエーターと企業との
「顔の見える関係づくり」により
クリエイティブコミュニティの再生をめざす。

◎クリエイティブクラスターの創出
コミュニティづくりにおいて
出会い→コミュニティの形成→コラボレーション の流れを
産学連携で交流連携しようとすると

・短期間に成果を求められる
・無理矢理成功例を作ろうとする

という傾向があって中々上手くいかない。

そこで、本体のメビック扇町とは別に
遊びで立ち上げたコミュニティ
「KNS(K=必ず N=飲んで S=騒ぐ会」で
積極的に人と会って飲む、という地道な活動を行っている。

そこでは、毎回異なる新しいメンバーが循環良く入ってくる。
「人が人を呼ぶ」仕掛けづくりに心を配っている。

「環境を作るのが自分らの仕事」だと堂野氏は仰ってました。

各団体のデザイン活動報告

札幌デザインウィーク実行委員会

札幌デザインウィーク

デザインが、地域と社会にもっと寄り添うように。
デザイナーは受動的でなく、積極的に課題を見つけて行こう。

富山県デザイン協会

富山は歴史的に2つのデザインの軸がある。
西は鋳物(伝統工芸/インダストリアル)
東は薬業(薬品のパッケージから派生してグラフィックデザイン)

文化を起点としたモノづくり/デザイン。
「高岡クラフト市場街」
場の持つ力。祭りが街を機能させる。

広島市産業デザインネットワーク研究会

設立して2年くらいなので、他の地域の事例から学ぶことが多い、という感想から。

広島は、デザイナーが生きづらい印象。
戦争で祭りや工芸が無くなってしまった。
デザインの必要性が忘れられている。

また、県民性なのか、団体戦が苦手。
団体戦で何ができるのかを、この団体で実現しようとしている。

福岡県産業デザイン協議会

FUKUOKAデザインリーグ と 福岡県産業デザイン協議会 との連携で
「デザインを使って福岡の中小企業を支援」してきた。

しかし、これからの15年に向けて3つの課題がある。

(1)対象とするデザインの範囲の見直し。
プロダクトデザイン → 地域・社会 へと
デザインの領域が広がってきている。
それに対応して範囲を定め直したい。

(2)やめること、続けることの整理。

(3)体制
現在は公務員が主。
ただ、公務員は、すぐに成果を求められたり
数年で交代するため継続性の問題がある。
今後、主体を変える必要がある可能性。
役割分担の見直しも。

NPO法人FUKUOKAデザインリーグ

1994年にデザインセンターを検討するが
行政が作るハコモノは不要、としてFUKUOKAデザインリーグができる。
デザイン産業を元気にするために予算をもらうが
すぐに成果を出せなかった。

2008年にNPO化し
当初は「デザインで経済に貢献」を目的としていたが
社会が成熟するにつれ「デザインで社会を良くする」へシフト。
「市民が豊かに暮らせる社会の実現」を目指す。

ミニ討議

(登壇者が頑張りすぎて時間が押したため討議がミニ討議に…笑)
各地域の団体リーダーが壇上に上がって質疑応答など。

行政との関わり方は?

札幌:行政からはもらっていない。
みんなボランティア。ただ、儲からないので人が流出している。

広島:少し行政から補助がある。
ただ、行政側の品目に「デザイン料」の存在は無い。
つまりデザインは認められていない。

富山:当初は「デザイン料」の存在は無かったが作らせた。
デザイナーは社会について勉強して行政を活用して
積極的に(対価を)取りにいかないといけない。

若い人、新しいメンバーを呼ぶには?

決まったコーディネーターになると
同じメンバーで固定化してしまう。
ネットワークづくりに力を入れる必要がある。

広島:クリエーターの自己体力を引き出すイベントを企画する。

富山:リーダー育成。学生の投入。

札幌:数年前から、中央のお偉方を呼ばないようにした。
地場のメンバーで話したい人がやるようにしている。

大阪:KNS(K=必ず N=飲んで S=騒ぐ会)では
毎回違う、新しいメンバーが入ってくる。
人は人にしか集まらない。
人が人を呼ぶ仕掛けづくりに気を配る。

おわり

デザインセンターというハコを作るのではなく
「人=デザインセンター」になるような在り方がいいのではないか?
と朧げながらも
これからのFUKUOKAデザインリーグが目指す形が
見えてきたところで終了しました。

感想

地域におけるデザインの関わり方が

その地域のプロダクト製品について
デザインで見た目を良くする、使い勝手を良くする

という位置づけだったのがこれまで。

これからは

地域社会を豊かにするには?
人を幸せにするには?
そのためにデザインでできることは何か?

という風に、デザインの対象がプロダクトに限らず
もっと広い範囲に及んできていて
デザイン業界そのものの変化を感じました。

あと、大阪のコミュニティ
「KNS(K=必ず N=飲んで S=騒ぐ会)」での
積極的に人と会って飲む、という地道な活動が
コミュニティを育んでる、という事実も見逃せないなと思いました。
お金ではなく、人と人のつながりを大事にするところ。

ふと、2008年のTDC(東北デベロッパーズコミュニティ)設立総会の時に
きしださんが「飲み会重要!」とだけ書いて
延々とプレゼンした時のことを思い出しました。
その時のブログはこちら

AIPカフェGuild Cafe Costa
福岡県Ruby・コンテンツ産業振興センターアンダーバー
などはコミュニティ、場づくりが上手くいってると思うんですが。
┃_・).。oO(誰かえらいひと、FDLとのコラボ企画とかやれないですかね〜?)


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